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悼(いた)む力 逝ったあの人へ、生きる自分へ 単行本(ソフトカバー) – 2013/6/11
阿刀田 高
(著)
「悼む」という行為は人間だけが持っている。人間は必ず死ぬ。人間は死に向かって生きているのであり、人間にとって死ほど重大なテーマはない。歳を重ねるほどに悼む機会が増えてきた著者がたどり着いた哲学は、「死んだ人は、だれかがその人を思い出している限り生きている」ということであった。親しかった人の死に遭遇しても、いつまでもその人を思い出すことで、その人は生きていたときと同じようにイメージできる。多くの文学は死んだ後もその人を生きていることにできる唯一の方法なのだ。「いつのまにかずいぶん長生きをしてしまった。八十歳も近い」とつぶやく作家が、ここ十年にわたって執筆した追悼文を一章に、二章「よく生きて、よく死ぬ」では「悼む心」が自身の文学に影響している心情をまとめ、三章「読書が培う悼む力」では日本語と悼むつながりを考えたエッセイをまとめ、悼むことの重要性を再認識する一冊。
- 本の長さ239ページ
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2013/6/11
- ISBN-104569812333
- ISBN-13978-4569812335
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商品の説明
著者について
作家
登録情報
- 出版社 : PHP研究所 (2013/6/11)
- 発売日 : 2013/6/11
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 239ページ
- ISBN-10 : 4569812333
- ISBN-13 : 978-4569812335
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,370,467位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 32,755位自己啓発 (本)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2013年12月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読みの速度が遅く,表現力のない私にとっては,毎回どの本でも品格のある言葉や表現力といろいろな蘊蓄に心が安らぎます。いろいろな作家の方とのかかわりや思いがつづられていて,私も生きることと死ぬことへの真剣な覚悟を持とうと感じました。
2013年11月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
一人ひとり生きている時のように思い浮かばれる、、前半は追悼文が並び
後半は「読書が培う悼む力」生と死と向き合いこのブラックボックス化していく
現代の日本に生きる自分達を洞察するエッセイでランダムに読める
後半は「読書が培う悼む力」生と死と向き合いこのブラックボックス化していく
現代の日本に生きる自分達を洞察するエッセイでランダムに読める
2014年1月24日に日本でレビュー済み
「マン・イズ・モータル(人は必ず死ぬ)」
若いころはそんなことをあまり意識しないものだが、
齢を重ねるにつれ、そして周りの大事な家族や友人を失うにつれ、
人間は誰しも避けて通れない真理に直面せざるを得なくなる。
しかし、その死を生へと変える作業が「語る」ことではないか。
これは阿刀田さんの中編小説『闇彦』の重要なモチーフでもあり、
小説家・阿刀田高がたどり着いたひとつの結論なのだろうと思う。
本書は、そうした氏の考えがそこかしこに瞥見できるエッセイ集である。
東日本大震災の悲劇に心を痛めて「言葉がむなしい」としながらも、
それでもすがるように言葉の底力を信じておられる姿勢には、強く共感する。
ヨハネによる福音書には冒頭に「初めに言(ことば)があった。言は神であった」
とあるが、言葉とはロゴスであり、氏によれば、ロゴスは世界の根源にある
法則・倫理・理性のようなもの。つまりロゴスは神なのだ。
ロゴスの力を借りて、私たちは死者を思い出していかなければならない。
そうすれば、人は必ず死ぬが、決して人は死なないという二律背反が成り立つ。
これこそが「悼む力」だと思う。いざというときジタバタしないように、
心に常に備えておきたい、かけがえのない力である。
若いころはそんなことをあまり意識しないものだが、
齢を重ねるにつれ、そして周りの大事な家族や友人を失うにつれ、
人間は誰しも避けて通れない真理に直面せざるを得なくなる。
しかし、その死を生へと変える作業が「語る」ことではないか。
これは阿刀田さんの中編小説『闇彦』の重要なモチーフでもあり、
小説家・阿刀田高がたどり着いたひとつの結論なのだろうと思う。
本書は、そうした氏の考えがそこかしこに瞥見できるエッセイ集である。
東日本大震災の悲劇に心を痛めて「言葉がむなしい」としながらも、
それでもすがるように言葉の底力を信じておられる姿勢には、強く共感する。
ヨハネによる福音書には冒頭に「初めに言(ことば)があった。言は神であった」
とあるが、言葉とはロゴスであり、氏によれば、ロゴスは世界の根源にある
法則・倫理・理性のようなもの。つまりロゴスは神なのだ。
ロゴスの力を借りて、私たちは死者を思い出していかなければならない。
そうすれば、人は必ず死ぬが、決して人は死なないという二律背反が成り立つ。
これこそが「悼む力」だと思う。いざというときジタバタしないように、
心に常に備えておきたい、かけがえのない力である。
2015年9月25日に日本でレビュー済み
短編の名手阿刀田高が、さまざまな作家を悼んで綴った文章と、3.11東日本大震災という巨大な厄災にかかわる文章を集めたエッセイ集。
「逝ったあの人へ、生きる自分へ」というサブタイトルがついている。
色川武大、藤沢周平、井上ひさし、新田次郎、米原万里など、大好きな作家への追悼文を読むのは、しみじみと嬉しい。
葬儀の弔辞といった改まったものではないので、どれもが、飾らず、静かで、しかも一つは心に残るエピソードが入っている。
講演会のあとなどに「どんな質問でもどうぞ」というと、「麻雀の必勝法を教えてください」という質問を何度も浴びせられたという書き出しの色川武大の章など、笑ってしまう。
色川武大は阿佐田哲也の名前で麻雀小説の傑作を書いており、阿佐田と阿刀田を取り違えた人がそんな質問をするという。
色川と阿刀田は同時期に『小説現代』新人賞の選考委員をしていた。二人は、最後の二作に絞るあたりまでは評価のものさしが良く似ているのだが、そのあと一作に絞るとき阿刀田は本命に傾き、色川は穴狙い(斬新なもの、わけがわからないもの、キッチュになりかねないものを選ぶ)の傾向を帯びるという。色川武大の姿が浮かんでくる話だ。
繰り返し震災について言及し、「私たちは物の豊かさを求めすぎたのではあるまいか」と語る。
もともと日本は貧しい国だ。だからこそ豊かな言葉の文化を育んできた。
それを大切に生きていこうと、老作家は語る。わたしは心から賛同する。
「逝ったあの人へ、生きる自分へ」というサブタイトルがついている。
色川武大、藤沢周平、井上ひさし、新田次郎、米原万里など、大好きな作家への追悼文を読むのは、しみじみと嬉しい。
葬儀の弔辞といった改まったものではないので、どれもが、飾らず、静かで、しかも一つは心に残るエピソードが入っている。
講演会のあとなどに「どんな質問でもどうぞ」というと、「麻雀の必勝法を教えてください」という質問を何度も浴びせられたという書き出しの色川武大の章など、笑ってしまう。
色川武大は阿佐田哲也の名前で麻雀小説の傑作を書いており、阿佐田と阿刀田を取り違えた人がそんな質問をするという。
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もともと日本は貧しい国だ。だからこそ豊かな言葉の文化を育んできた。
それを大切に生きていこうと、老作家は語る。わたしは心から賛同する。